アムステルダムの建築穴場スポット
アムステルダムを取り巻く環状道路(大きさはパリの環状道路とほぼ同じ)
の南西に位置する建築群、オリンピックスタジアム、ING銀行、自由大学医学部(vrije universiteit)


・Olympisch Stadion (Amsterdam) ,1928

1928年開催のアムステルダムオリンピックのために建設された競技場。
設計はデ・ステイルDe Stijl の初期メンバーの一人Jan Wils。
水平線の強調、面の取り扱い方、ざっくりとしたヴォリューム感、赤レンガの表層。
ベルラーヘの証券取引所と同じ建築言語が散りばめられている。
さらにこの建築にはスタジアム建築特有の「曲線の美」を看て取ることができる。
うねるように盛り上がっている観客席の造形は、なかなかすばらしい。デ・ステイルは直線だけじゃないらしい。いい意味で期待を裏切ってくれた。
ちなみにスタジアムのエントランスの両側にゲートのように建っているCITROENのオフィスは、超純粋モダン建築。
ファン・ネレ工場やバウハウス校舎と全く同じ建築言語でできている。
オランダ建築の歴史を感じさせる一画。


・INGbank ,2000

http://www.meyer-vanschooten.nl/
設計は、Meyer and Van Schooten。
外観は、さながら飛んできた宇宙船のよう。マルセイユのユニテのハイテック・バージョンといった趣。
高速道路のすぐ横というロケーションなので騒音や汚染された空気に対する配慮が必要とされていて、
それに対する解答がこのダブルスキンであるとのこと。これによって騒音は軽減され、空気は浄化される。
ただこのダブルスキン、ただの二重窓とはわけが違う。
ごく普通のスラブの積層によって構成されるオフィス空間が宙に上げられメタリックな外装とガラスでくるりと完全に包まれている、完全な入れ子状態。
ほんとうに宇宙船みたいに作られているのである。
前面ガラス張りの奥にごくふつうの縦長プロポーションのオフィスの窓が見えるのはなかなかない体験で、興奮してしまった。
ほんとうにすばらしいのは、この大胆な構成だけで安心することなく密度の高いデザインがなされていること。
有機的にうねる外装(たぶんアルミ)やガラスをつるっと仕上げるためにどれだけの技術的配慮が必要だったのかわからないが、ディテールもきちんと処理されている。
そして目立たないけどランドスケープの設計もちゃんとなされている。
銀行の本社ビルのため中には入ることができなかったが、オフィス内部はごく普通のオフィスビルのようにつくられているらしい。ふつうのオフィスビルのよさも取り入れられている。
さらに高速道路を走っているといやでも目に付くこの特異な形態は看板建築としての役割も果たしているのである。

このロケーションとプログラムの組み合わせに対するひとつの決定的な解答になりえている気がする。
アムステルダムにきたら見なきゃいけない建築のひとつであることは間違いない。


・自由大学医学部(vrije universiteit)
カメラがないため写真を取れず。
表層の処理の仕方は好きになれないものの、オランダ特有のざっくりとしたボリューム感がすばらしい。