久しぶりに模型を作る。
プロジェクトはアイブルグ(http://d.hatena.ne.jp/k_fire/20061001)ではなく、これまた近くの人工島に実現されるはずの、住宅のプロジェクト。


両側を共有壁ではさまれていて、建築面積とほぼ同じ大きさの中庭をもつ、ヨーロッパの典型的な都市型戸建住宅。
有壁と中庭をもつ建築形式は日本では設計する機会はなかなかないので、勉強になる。(デザインはもちろん僕によるものではないけれども。)


住宅(集合住宅を含む)を設計する場合、建物の密度(住戸数、1戸あたり面積/敷地面積)が与えられれば、(採光・通風などの条件があるために)ありうる建築の形態の可能性は、大体絞られてくる。
さらに都市的コンテクストの中に、周辺環境とのバランスをとりながら建てるということになると、もっともっと絞られてくる。
プランを可能な限りシンプルにつくるということを前提にすれば、なおさらである。
あはと境界(内/外の境界、敷地境界)をうまくデザインしてやればよいということになる。



だから都市をコンパクトにつくろうと言う時には、建物のレベルではこの 境界/密度 の設計が焦点になる。



今回模型をつくったプロジェクトでは密度も境界もはじめからかなり設定されていたようなので、やれることは結構少なかったはず。
密度・・・建築面積や建築高さは周辺環境(建築法規)から大体きまる。したがって建物ボリュームの大きさはほぼ一意に決まる。
境界・・・両側が共有壁で挟まれている。したがって居室は外気に接するために通り側か中庭側に接するように配置するしかない。


昨年のAUSMIPでも、似たような条件の敷地を選んで設計した。

このときは、両側の共有壁から人が通れるくらいの幅をとって配置し、外気に面する境界をふやすことをまず考えた。
さらに内部空間を仕切る境界を内部と外部を仕切る境界と一体化させて考えた。
このときも根底にあった興味は密度/境界だった。


ただし、密度/境界だけ考えていればいいかどうかはわからない。
あらゆる設計条件の中の、ある特定の部分だけにフォーカスしているだけだし、建築のデザインがほとんどゲームになってしまう。


もちろん、コンパクトシティを考える上での必要条件として重要な意味を持ってはいる。
それにくわえて何か、もっと環境的な視点から建築に影響を与える要素を見つけ出すことが、きっと必要。なはず。