workshop IJmeerについて。


http://www.ijbrug.nl/ijburg/tiki-index.php?page=Afbeeldingen+Portfolio+Atelier+IJmeer


workshop IJmeerはオランダの首都アムステルダムと、そこから22.5km離れた新興住宅都市Almereをつなぎひとつの新しい線上都市を構築するべく結成された、建築家・都市計画家集団。(Rem Koolhaasの兄弟、Teun Koolhaasも参加していたりする。 )


アムステルダム中央駅東に位置するボルネオ島、KNSM島の再開発、MVRDVの設計によるsilodamがアムステルダム側から始まっているこのグレーター・プランの一環。
もう一端のアルメラ側からの再開発はクリスチャン・ド・ポルザンパルク設計のショッピングモール、クラウス・エン・カーン設計の集合住宅、SANAA設計のスタッドシアターなどの建設がもうほぼ終わっている。


その二つの都市をつなぐ長い線分のちょうど真ん中に位置するのが、今自分が作業している集合住宅の敷地、人工島IJburg
(アイブルグ brug=ブリッジの意。http://d.hatena.ne.jp/k_fire/20061001)


今の事務所には自分が作業中の集合住宅のほかにも、戸建住宅のプロジェクト(http://d.hatena.ne.jp/k_fire/20061103)が進行中。
オランダの建築事務所を総動員するような大きな規模の都市計画は、はっきりいって日本ではありえない規模。うらやましい。


もちろん、建築家が次のステップに進むための格好の舞台でもある。
逆に失敗すればその建築家に未来はない、といっても過言のないくらい重要なプロジェクト。
しかもクライアントのデヴェロッパーにも建築家の素養があって、デザインのクオリティに対する要求は高い。


そのプロジェクトで今日ちょっとしたトラブルが発生する。
問題は、一本の木。


この島は人工島で、何もかもが計画されている。そう、木の位置すらも。
そしてオランダにおいて木は、あきらかに日本においてよりも重要な位置づけを与えられている。
アムステルダム中心部の都市のストラクチャーでは木は建物や運河と同等の価値を認められているし、(http://d.hatena.ne.jp/k_fire/20061014
中心部でなくても秋には落ち葉のせいでトラムがとまったりするくらい、木は、ほんとうにいっぱい植えられている。


今日発生した問題は、その重要な木が敷地の前に何本も植えられる予定であることを完全に(ボスが)忘れていて、パーキングのエントランスの予定位置のちょうど前に植樹が計画されていることに、今日気づいたということ。


パーキングのエントランスが変わる→パーキングそのものが変わる→グリッド・エレベータの位置が変わる→プランが全部変わる


というなだれ現象。
下手をすると建築のコンセプトを根本から変える必要もあったかもしれないくらいの重要な予条件の変更。
しかし不思議なのはその結果、なんとかうまく問題を回避できたというレベルにとどまらず、あきらかに前よりも案が改善をみた、ということ。


ただの一本の木。しかしオランダでは一本の木はひとつの建物とあまり変わらないのかもしれない。