review - stockholm 2nd day

8月6日,この日はストックホルム市庁舎、旧市街ガムラ・スタンと建築博物館を訪れました。


ストックホルム市庁舎 Stadshuset (1923), Ragnar Ostberg

ピロティ部分の列柱がどこかヴェネツィアの雰囲気をもっているなあと思っていら、ガイドさんによるとこの建築はパラッツォ・ドゥカーレを参照したものだそうです。予感、的中。
エントランスを入って一番最初にある「青の間」のハイサイドライトをみてちょっとびっくりしました。クラシックな建物なのに光の入れ方はかなりモダンです。
なんといっても一番いいのは海に対して開かれた部屋で、この景色のためにこの建物があるのだといわれても不思議ではないくらい、いい景色でした。冬は寒くて大変そうですが。
空間的には列柱ごしに海が見える中庭の空間がもっとも興味深い。薄暗い中庭、もっと暗いピロティの下、明るい外庭、そしてもっと明るい光を反射している海、のレイヤが同時に感じられるからです。
建物の中に入る前に海に誘われて出てしまうような空間構成。水際の階段に腰をかけて少し読書したあと、旧市街へ。


旧市街ガムラ・スタンは建物も都市の構造もかなり古く、スケール感も含めてどこかヴェネツィアを思い起こさせる町並みです。
北のヴェネツィアといわれるアムステルダムよりももっとヴェネツィアに似ていると思います。
馬にまたがった王宮の兵士たち真っ青な服がまぶしく光っていたのが印象的でした。


ストックホルム近代美術館、建築博物館 Stockholm museums of art and architecture (1997) , Rafael Moneo


建築よりも、展示が面白かった。収穫のひとつは、第三インターナショナルの巨大模型をみれたこと。
もうひとつの収穫は、建築博物館のshopにおかれていたH&deMの三冊目のエル・クロッキー。(このエルクロは日本でだって読むことはできますが、僕はここで初めて目にしました)
三冊目はそれまでとは違って、作品の規模もデザインの密度もスタディの量も考え方の新しさもすべて、エキサイティングでした。
この質と量を実現するためにはどのように事務所を組織すればいいのでしょう。ふつうのやりかたでやっていては到底勝てるみこみがないな、と打ちのめされました。
それと同時に、自分はこういうことをやりたいんだな、と思いました。ささいなことですが、でもはっきりとした心の動き。小さくても、こういう感動だけがただひとつ確かなものなのかもしれませんね。


そのあと、クルーズ・ツアーに参加。110分もの長旅で途中寝てしまいましたが・・・・。印象にのこっているのは、ガイドさんがしゃべっていたこと。「スウェーデンでは仕事が少なくて、だから学校にできるだけ残ろうとするモラトリアム人間が増える傾向にあります。」
不景気であることに関しては、ヨーロッパは年季が違うのだなあと思いました。まあ日本の建築業界もたいして変わりないかもしれませんが。
帰り際にスウェーデンのビール、アブロを飲む。このたびの目的はもちろん建築ですが、ビールももうひとつの重要な目的なのです。
少々酔っ払いながら、ホテルに帰り、就寝。