Our Short Trip to Berlin, the 2nd day

ユースホステルを出てアルテス・ムゼウムへ。
ベルリンの朝はブリュッセルより早く、寒かった。


Altes Museum/Karl Friedrich Schinkel


これも神殿のような美術館。
しばらくファサードをながめて、横長のプロポーションがニュー・ナショナル・ギャラリーに似ているなあとなんとなく思いながら中へ。
中へ入るとローマのパンテオンのようなドーム空間と、その両サイドに展示空間がある。
再び外へ出てファサードを眺めるうちに、イオニア柱の数が18本であることに気づく。
そして同時に、ニューナショナルギャラリーの屋根が18×18個の小さな正方形の格子で構成されていたことを思い出し、なるほど似てるわけだと1人で静かに感動。
アルテスムゼウムのペディメントのないイオニア柱とナショナルギャラリーの十字型コラムの類似性も確認。
妙にクラシックな感じを持つ十字型コラムの原型はここにあったのかも知れないな、などとと思いつつ隣のベルリン大聖堂へ。


Berliner Dom


教会でミサに参加。
そのあとドームの上にのぼってベルリンを一望。
いたるところで建物の建設が進んでいる。
途中ウンター・デン・リンデンフンボルト大学を横切りながら、徒歩でギャラリー・ラ・ファイエットへ。



Gallery La Fayette Berlin/Jean Nouvel


フリードリッヒ・シュトラーセを歩いてギャラリー・ラファイエットに到着。
ガラスの扱いのうまさはさすがと思わせるデザイン。
円錐型のヴォイドをうがつという一発芸的なアイディアをきちんとディテールまで設計しきっている。
上から下を見たときの見え方がユニークで、デパートというプログラムにぴったり。
地下で昼食をとってから、次の目的地ユダヤ博物館へ。


Jewish Museum/Daniel Libeskind


まず外周をぐるっとまわってファサードを確認。
やっぱり入り口はどこにもない。
隣の建物から中へ。
内部空間は外からは想像できないほど複雑で、展示空間はどこをどう進んでいいのかわからないくらいごちゃごちゃしていた。
インスタレーションのやりかたはうまくないのかもしれない。
ただし、空間構成はかなり面白い。隠されたエントランスから地下へもぐり、大階段を経て展示空間へといたる空間のつながりは面白いし、虚(ヴォイド)と実(マス・展示空間)の空間の絡み合い方とその両者のお互いの見え方などは斬新。
その一方で、コンセプトが少し哲学的過ぎると思う。
造形を導く軸線の決め方や中庭の持つ意味など、説明されないとわからないし、説明されたところで「ふ〜ん。そっか」としか思えない。
ヴォイドの部分がユダヤの人たちの虚無感をあらわしているといわれると、そうなのかもしれないとおもいつつ同時になにかうさんくささを感じてしまう。
しかもそのコンセプトを批判しようとするとなぜかユダヤ人を批判しているような気分になってなんだかすっきりしない。
なかなか難しいプログラムの建物だな、と感じながらコンサートの当日券を買いにベルリン・フィルハーモニーへ。


New National Gallery/Mies van der Roch


ベルリンフィルでチケットを無事買い、コンサートが始まるまでの間をナショナルギャラリーでつぶす。
アルテス・ムゼウムを見た後なので、もはや十字コラムは現代版イオニア柱にしか見えない。
夜になって周囲が暗くなると黒いコラムが消えて見えなくなり、中にいると、ガラスに反射して天井の正方形の格子が永遠に続いて地上を覆っているかのような見え方になる。
フラットな正方形のグリッドからなる屋根と床だけが永遠に続く空間とその間にに展開される多用な活動を目の当たりにして、
ああ、ユニヴァーサルスペースってこういうことをいうのか、などと納得。
しばらくぼーっと天井を見上げた後、コンサートを聞くべくまたベルリンフィルへ。


Berlin Philharmony/Hans Sharoun


ベルリンフィルには続々と人が集まっていた。
本格的なオーケストラを生で聴くのは初めてで、ホワイエのなんだか社交場みたいな雰囲気にも圧倒された。
僕達だけが場違いなのかと思っていたら、他にもジーパンはいてやってきてる学生が何人かいるみたいだった。

オーケストラを聴きながら、ああ、クラシックは生で聴かなければまったく面白くないんだなということを今更ながら再確認する。
特に視覚情報が重要。指揮者の立ち居振る舞いもさることながら、演奏者達の動きや表情も面白い。
指揮者に合わせていっせいに音を止めたり出したりするときの呼吸の合わせ方などは感動もの。
デジタルデータではそぎ落とされてしまうほとんどの情報こそが、クラシックの命なんだなと実感。
終了したのは10時過ぎだった。

次は本場のオペラを観たいなあとおもいつつ、寒空の中をユースホステルに向かって急ぐ。