Our Short Trip to Berlin,1st day

夜行バスでベルリンに1030着。すぐにライヒスタークへ向かう。


The New German Parliament, Reichstag /Lord Norman Foster


フリードリッヒシュトラーセ駅を降りてライヒスタークへ。30分ほど待ってから中に入る。
内部空間は思ったよりもずっと小さく、30分ほどで見学終了。
この建築の最大の見せ場は外観だな、と思いました。
つまり内部空間の持つ面白さよりも、あたかも昔からあったかのように既存の建築に馴染んでいるキューポラの形態が持つ象徴性こそが最大のウリでしょう。
キューポラという保守的な形態と、それを建築化するためのハイテク技術の組み合わせが、いかにもドイツにぴったりだな、という印象を受けました。


DG bank/Frank O.Gehry


ライヒスタークを後にし、ブランデンブルグ門をくぐってDB bankへ。銀行なので奥へと入ることはできずエントランスからのぞき見ただけでしたが、それで充分でした。
デコンの建築は僕がもっとも理解できない類の建築ですが、やはりよさがよく理解できませんでした。かつてロスのサンタモニカでみたゲーリー自邸から受けたような衝撃が得られることをを期待していたのですが。


The Academy of Arts/Gunter Behnisch


これもデコンの建築。芸大の学生が好きそうな感じのデザイン。
そういえば僕達の大学(サン・リュック)の学生はデコンの建築を設計する人が多いみたいだけど、そういう人たちはこの建築をきっと好きなんだろう。
僕にはよくわかりませんが。


The Memorial to the Murderd Jews of Europe/Peter Eisenman


再びブランデンブルグ門をくぐりポツダム広場へと向かう途中でホロコーストメモリアルに寄る。
アイゼンマン設計ということで全く期待していなかったけど、いい意味で裏切ってくれました。
最初はただの大掛かりなモニュメントなんだとおもっていたら、実は地下はホロコースト博物館になっていて、
すべてのインスタレーションが地上のモニュメントと連動して配置してあり、地上のモニュメントは全て目地なしのコンクリートでひとつひとつが微妙にいびつな形をしているという繊細な建築。
地上のモニュメントの間を歩いていたら、自分の卒業設計と4年の時のスタジオ課題をふいに思い出しました。
空を見上げたときの映像があまりにもその二つの設計案の空間に似ていたので。
僕の作品にもいつの間にか自分らしさみたいなものが出てきているんだなあなどとまったくホロコーストと関係ないことを考えながらポツダム広場へ向かう。


Potsdamer Platz


ポツダム広場再開発といえばヨーロッパでも有数の大再開発計画であり、かなりの数の建築家が関係したことでも有名です。
ただし、個々の建築のデザインにはあまり惹かれませんでした。僕自身はハイテックの建築家はわりと好きなほうなのですが、
どういうわけかピアノもロジャースもヘルムート・ヤーンも琴線に触れるデザインではありませんでした。
あまり巨匠の作品ばかりが集まる街並みは過剰すぎてよくないのかも知れません。
ポツダム広場は、以前難波先生からお借りしたビデオのなかでりべスキンドが、ベルリンでもっとも重要な広場として説明していた広場です。
この場所はぎりぎり東ドイツに属していた場所で現在もまだ工事中です。
この広場にはまだ何もなく、きっと何十年も後になってみないと良さがわからないんだろうなと思いながら、次はベルリン・フィルハーモニーへ。


Berlin Philhqrmony/Hans Sharoun


向かう途中でナショナルギャラリーがチラッと見え、すぐにそっちに向かいたい衝動を何とか抑えてベルリン・フィルへ。
外観は思ったよりも安っぽい。
すぐにロビーへと向かってコンサートのチケットをに関する情報を入手。
翌日に当日券を買いに再び戻ってくることを決めて早々に立ち去り、ついにニューナショナルギャラリーへ。


New National Gallery/Mies van der Roch


美術館というよりも、ほとんど神殿に近い建築。

ファサードを見た瞬間に「鉄骨でできた幾何学の神殿」という言葉が脳裏をよぎる。
どこかで読んだ本に書いてあったのかもしれない。ほんとにその通りだなと思いました。
この感覚は翌日アルテス・ムゼウムを見たときにより強く感じることになりますが、それは翌日の日記で詳しく書きます。
ヨーロッパ時代の、バルセロナ・パヴィリオンに代表される内部空間と外部空間が相互に貫入しあう作風と、
アメリカ時代の、クラウンホールに代表される自閉的・幾何学的・求心的な作風が、
絶妙に融合している印象を受けました。
バルセロナ・パヴィリオンほど開放的でなく、クラウンホールほど自閉的ではない。
単純かつ純粋な幾何学が強く感じられるこの空間の中では、展示物や椅子や机だけでなくそこにいる人間さえもがあたかもユニヴァーサルスペースのなかに配置されたオブジェのように感じられます。
内部空間はもちろん空調されていましたが、今振り返ってみるとなぜか空気がすこしひんやりしていたという記憶があります。
この冷徹で厳格でストイックな空間は生半可なことでは実現できないんだろうなと思いつつ、
明日もアルテスムゼウムの後にもう一回この建築を訪れることをひそかに心の中で決心しながら、在独オランダ大使館へと急ぐ。


The Netherlands Embassy in Berlin/OMA


中には入れなかったので外観のみを見学。
もしかしたら今ヨーロッパで一番「ホットな」建築なのかもしれません。
OMAの建築はいつも結局出来上がる建築の形はまったくかっこよくないものが多いと思っていたのですが、この建築では思わずかっこいいといいそうになりました。
例のチューブ空間は外から見てもかなり魅力的で、キュービックなヴォリュームの中にかなり多用な空間が閉じ込められていることが窺えます。
新しい建築を積極的に作り上げようとするオランダの大使館だからこそこれほどの質の高い現代建築が出来上がったんだなと考えつつ、
もし日本大使館だったらぜったいこんないい現代建築にはならないんだろうなとすこし寂しい気分になりながらユースホステルへ。